前回の補足です。

前回掲載した中村氏の言葉は正確には以下のようなものです。

 

 「やたらに寿命を延ばすということが果たして医療なのかということを、最近つくづく感じるようになってきました。たしかに、長生きするというのもいいことですが、その長生きさせてもらったこの命をどう使うかについては、何も言わない。タイプライターの打ち方を勉強したけれども何を打っていいか分からないというのに似ている。そういうもどかしさとかを感じますね。」『わたしは「セロ弾きのゴーシュ」』/ 中村哲

 

 また後日紹介するかもしれませんが、貧しく、自然環境の厳しい地域の場合、重度の障害が残る患者には本人や家族のために敢えて治療を行わず、そのまま死を迎えるようにする話も出てきます。「先進国」に住む人間の感覚では無慈悲のようですが、本来の尊厳ある人間の生き方としてはこちらのほうがより正常であるようにも思います。